残される家族に感謝を!遺言の付言事項は最後の愛のメッセージ

Q:残された家族が前向きに生きていけるような、感謝を込めた遺言を作成するにはどうすればいいでしょうか

A:遺言に記載できる内容は、民法などで定められた法的な効力を持つ事項のほか『付言事項』というものがあります。付言事項には法的な効力はありませんが、遺族へ残せる最後のメッセージですので、是非記載されることをおすすめします。

法的効力はないとはいえ「なぜそのように遺産を分割することにしたのか」などのように遺言に込めた想いを付言事項として伝えることで、遺言者の意思が明確になって争族トラブルが回避できることがあるのです。これはかなり強力な意味を持つことがあります。遺産相続は財産分けではあるのですが、亡くなった親などの愛情を奪い合うというような意味合いがあります。遺言で財産をもらえなかった相続人が納得できるような付言事項を書いていただきたいと思います。

付言事項に記載される内容としては下記のようなものがあります。

  1. 家族への感謝の気持ち
    家族のおかげで人生が素晴らしいものになったことへの感謝の気持ちを書かれる方が多いです。付言事項で最も大切なのは、遺言を読む遺族への感謝の気持ちを伝えることだと思います。家族全員に対して個別に付言事項を長く書かれる方もいらっしゃいます。
  2. 遺言の内容に関する経緯
    なぜそのような遺産の分配方法を決めたのかについて、経緯を書くことも重要だと思います。例えば自宅不動産以外にあまり財産がないような方が、同居する子へ自宅不動産を相続させてあげたい場合には、ほかの子の遺留分を侵害する結果になる場合もあるでしょう。その場合には同居してくれたことへの感謝や、遺留分を巡って争ってほしくないという気持ちなどを書くことをおすすめします。
  3. 遺品の処分など
    衣類などの遺品のほか、趣味で集めていた物の処分方法や、葬式に関すること、臓器提供に関することなどを記載する場合もあります。残された家族が目にする遺言は、遺言者から家族へあてた最後の愛のメッセージです。遺言者がいない世界で、財産の分割を通じて家族にどう生きて欲しいのか、気持ちを伝えていただければと思います。