遺族に大変な手間をかけることにも?遺言がないと大変なんです

Q:75歳の男性ですが、そろそろ自分が亡くなった後のことを考えなければと思っています。私の家族に限って相続争いをするようなことはないと信じていますが、最近は子供たちに会う機会もあまりないので不安です。やはり遺言を作っておいた方がいいのでしょうか?

A:遺言とは、自分が生涯をかけて築きあげた大切な財産を、どのように分割するかを指定するために行うものです。いわゆる『争族』になることを避けるためには、まずは遺言を検討することになります。遺言がないために、相続を巡って兄弟で何年も争い続けるようなことも少なくありません。遺言の最大の目的は、財産の帰属先をきちんと指定することによって相続争いを防止することあります。

遺言がないときは、相続人全員で話し合って遺産をどう分けるかを決めていくことになります。これを『遺産分割協議』と言いますが、誰だって多くの財産が欲しいものですので、遺産分割協議をまとめるのは簡単なことではありません。協議がまとまらない場合には、家庭裁判所で決着をつけることになりますが、こうなってしまえばもう、かつてのような仲の良い家族に戻ることは二度とないでしょう。

遺言で、妻には自宅と預貯金を全部、長男にはワンルームマンション、二男には駐車場として貸している土地、というように具体的に財産の帰属先を決めておけば、遺産分割協議をすることなく遺産の名義変更ができますので、遺産を奪い合って争いになることを避けることができるのです。

自分の家族のことをよく考え抜き、最もふさわしい相続の仕方を遺言できちんと決めておくことは、財産を残す者として必要なことなのです。