ダメ、絶対!取り返しのつかない相続放棄の間違いがよくあります

Q:自分で相続放棄の手続きをされた方によくある間違いです

A:プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が多いような場合に、相続人から脱退して借金などを相続しないために使うのが『相続放棄』です。
ところが、相続放棄という言葉が、一般的に誤って使われていることもあって、絶対にやってはいけない間違いを犯す方が後を絶ちません。

父親が亡くなり、相続人は母親と子2名というケースを考えてみましょう。遺言がなければ、通常は相続人全員(母親、子2名)で遺産分割協議をして協議書を作成し、不動産の所有権移転登記や預貯金の払い戻しなどを行います。
ところが、母親に全財産を相続させるという協議が整ったあとに、子ども2名は「相続を放棄するのだから…」と考えて相続放棄をしてしまう方がいるのです。

お分かりになるでしょうか?

子ども2名が相続放棄をすると、子どもは相続人から脱退しますので、次順位の相続人、つまり父親の両親や兄弟姉妹が繰り上がって相続人になるという結果になってしまうのです。
こうなってしまえば、母親に全財産を相続させるためには、亡くなった父親の親や兄弟姉妹に同意してもらって印鑑をもらわなければ手続きが出来ません。
誤って相続放棄をしたことを伝えて協力をお願いしたとしても、中には快く協力してくれない場合や、自分の取り分を要求される場合もあるかもしれません。また、行方不明になっていたり認知症で意思能力がない場合もあるでしょう。

別の記事でご紹介したとおり、これは民法上の相続放棄を十分に理解していないことから起こる勘違いです。相続放棄を取り消すことは通常認められませんので、悔やんでもどうにもなりません。
くれぐれも注意していただきたいと思います。