遺産分割協議でやってはいけない間違いがあります。どうせ息子のものになるんだから?

Q:どうせ息子のものになるんだから、という考えは間違っています

A:一家の大黒柱であった父親が亡くなって、相続人は母親と子ども2名というケースを考えてみましょう。
遺言がなければ、相続人である母親と子で遺産分割協議をすることになります。
多くの場合、主たる財産は自宅不動産ということになるわけですが、この際にやってはいけない間違いがあります。
それは優しい母親のこんな考え方です。

「最終的に自宅は息子のものになるんだから、同居している息子名義にしてくれていいわ」

この発言は、ある可能性を見落としているという点で間違った考え方なんです。
相続をめぐる判断の難しさは、その後どのような順番で次の相続が起こるのか分からないという点にあります。
つまり、母親よりも先に息子が亡くなるという可能性があるということです。
日本人は非常に長生きですので、親よりも子が先に亡くなるということは、決して珍しいことではありません。

もし息子が先に亡くなった場合、自宅の名義は息子のお嫁さんのものになります。そうなれば、母親の立場は亡くなった息子の嫁名義の家に同居させてもらっている義母ということになってしまいます。
お嫁さんが再婚でもしようものなら、もう同居は難しいでしょう。
お母さんの単独名義にしないまでも、共有持ち分は持った方がいいと思います。