恐怖!認知症で不動産売買が無効になることも?

Q:認知症で不動産売買が無効になれば大トラブル!

A:不動産の売買をする場合には、売主さん・買主さんともに契約の締結に足る意思能力があることが前提となります。意思能力のない状態で締結した売買契約は『無効』です。
認知症の高齢者が売り主となったケースで、売買契約の効力が無効とされたケースはいくらでもあります。

万が一、決済終了後の売買契約がさかのぼって無効となれば、所有権移転登記や抵当権設定登記はすべて抹消され、売買代金は返金しなければならなくなります。そうなれば、買い主、仲介業者、融資銀行、抹消銀行、すべての関係当事者に甚大な損害を与えることになるでしょう。
意思能力に疑いがある高齢者が所有者の場合には、成年後見人(保佐人、補助人)などが選任されていないかどうかを確認する必要があります。ただし、成年後見等が開始していなくとも、契約締結時に意思能力がなければ契約は無効となります。
契約締結までに、高齢者の判断能力について判断する必要があります。高齢者の意思能力の有無を確認するには、次のような方法をとる必要があるでしょう。

  1. 日頃どのような日常生活を送っているのかを確認する
  2. 本人と直接いろいろな話をして理解力を観察する
  3. 意思能力の低下について家族人から情報収集をする
  4. 担当医の意見を聞く

認知症の程度を図るためのテストとして『長谷川式スケール』があります。15分程度で実施が可能で、30点満点中20点以下の場合には、認知症であるとされていますので大変参考になります。ただし、長谷川式のスコアは判断材料のひとつであって、これだけで万全というわけではないという趣旨の判例もありますので注意が必要です。